今日は、後藤宗明さんの中高年リスキリング これからも必要とされる働き方を手にいれる (朝日新書)をご紹介します。
著者の後藤宗明さんは一般社団法人ジャパン・リスキリング・イニシアチブの代表理事です。
中高年のリスキリングの必要性が近年主張されていますが、このテーマの第一人者的な方で、これまでも何冊か著書を出されています。
目次
この本を3行で要約
- 現在の中高年は定年後も積極的に働かなければならず、リスキリングで自らの職を創造する必要がある。
- 今後の労働市場は、AI・ロボットの影響、慢性的人材不足、大規模な労働移動、フリーランス化に影響される。
- リスキリングには、①スキル・学び②健康③お金④人間関係⑤仕事、に投資する意識を持つ
こんな人におすすめ
- 40代~50代の会社員や公務員など勤め人で、定年後の人生設計を考えている人
本文・要約
今後の労働市場
現在の40代~50代が定年を迎えるころには、労働市場は次のようになっているでしょう。
・AIやロボットにより単純労働は自動化されている。すでにアメリカではAIによるホワイトカラーの技術的失業が起きており、日本でも起こりうる。
・慢性的人材不足となっているが、雇用の場は偏在がある。地方には仕事がない。
・2040年に日本では1100万人の人材供給不足となっているが、団塊ジュニア世代は定年後も仕事についての競争が待っている。
・現在は高齢者雇用の吸収先は介護、清掃、警備といったエッセンシャルワークである。
AIが主流の時代で人間に残る仕事
・エンターテインメント
コミュニケーションを通して人間を喜ばせるというものは人間にしかできない。
・「天然である」ということ
通訳はAIに代替されるかもしれないが、外国語を話すことで外国人との人間関係を作ることは人間にしかできない。
・「学際的である」こと
AIはひとつの分野を極めることは得意だが、複数の分野を組合わせることは苦手である。学際的である。ということは2つ以上の分野の知識を統合し応用することである。
AIが主流の時代で失われる人間の仕事
・正確さや迅速さが要求される仕事。判例を検索する弁護士や会計業務などが代表的な例。
現在の中高年に求められるマインドセット
・まずやってみること
・自分にとって居心地の悪い空間に身を置くこと。筋トレと同じで変化が起きる。
・6割の理解で進める。
・何度でも繰り返すこと。すぐに成果が出なくてもあせらないこと
・柔軟に軌道修正する。
これからの成長産業
下記について知識を深めておくことが仕事につながるリスキリングとなる。
・グローバル
・デジタル
・グリーン
・宇宙
40~50代は定年後フリーランスを目指すべきである理由
・しばらくは上の世代が多い。団塊ジュニア世代前後は人数が多く、定年後再雇用での仕事を得るための競争が激しくなる。
・中高年がリスキリングしなくていい雇用は限られる。シニア世代の代わりに外国人移民やAI、ロボットで代替される。
フリーランスで稼ぐための能力の高め方
・適切な人脈を維持すること
仕事を頼まれるためには、必要な人間関係を維持する努力が必要。自分から営業した場合、新規の取引先はディスカウントされるが、知り合いからの紹介営業はディスカウントされにくい。
・明確な実績を作ること
・差別化された価値を持つこと
リスキリングのための5つの投資
・スキルと学び
・健康
・お金 金融知識を高め、お金にも働いてもらうことが重要。
・人間関係 特に年下の人との人脈は大事にする。
・仕事
リスキリングに重要なこと
・アンラーニング 新しいものを取り込むためには古い知識を意識的に捨てる必要がある。
・インフォーマルネットワーク 中高年の転職に重要。やる気がなくなるような人間関係は整理する。
・副業、兼業に挑戦する。 それがそのままリスキリングにつながる。
・多くの人と会う。 特に定年後フリーランスになった人と会うと参考になる。
まとめ
40代半ばから50代に入ると、そろそろ定年の準備をしておくべきでしょう。会社にはいつまでもいられないのですから。
55歳で役職定年、60歳で定年です。再雇用で会社に残っても、かつての部下につかわれ、収入は減り、重要な業務を任せられるわけでもありません。
収入的にも精神的にもいい話はないようです。
定年後再雇用で勤務していた会社に居残るよりは、定年後でもフリーランスとなって金銭的にも精神的にも充実させたほうがいいでしょう。
そのための条件がリスキリング。なのですが、そのヒントとなる本と思います。