今日は、日沖 健さんの失敗事例から学ぶ! 中小企業診断士の独立開業のリアルをご紹介します。
作者の日沖 健さんは独立開業している中小企業診断士です。主に研修や中期経営計画や新規事業開発のコンサルティング業務を行っており、多くの中小企業診断士と会ってきて、独立についての相談も多く受けてきた人とのことです。
下の記事で書いたように、充実したセカンドキャリアにするために、私は中小企業診断士資格を取得して50代のうちに独立することを考えています。
しかし、中小企業診断士資格をとったからといってそれで独立して仕事があるのか、十分な収入があるのか。というのは気になるところです。
受験勉強をしながらも、そのあたりの事情のリサーチを行い、資格取得後のキャリアプランを検討しています。
この本を手に取ったのは、中小企業診断士資格取得後のイメージをつくるためでした。
この本にも記述がありましたが、独立して成功したという話はネット記事などにもよく紹介されていますが、人は成功話はよくしますが、失敗話はあまりしません。
中小企業診断士は、本当に多くの人が独立して収入を増やしているのでしょうか?
多くの中小企業診断士と会ってきたという著者が、このあたりの事情について紹介してくれています。
目次
この本を3行で要約
・独立開業で会社員時代よりも稼いでいる人もいるが、会社員時代よりも低い年収のままという人も少なくない。
・独立中小企業診断士の仕事は、コンサルティングと研修が2本柱で、公的支援、補助金獲得、執筆というような仕事になる。
・独立中小企業診断士で最も重要な仕事は「受注」である。
こんな人におすすめ
・中小企業診断士資格を取得して独立を考えている人
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要約
全般
・自分についてSWOT分析をし、強みと機会の重なるところを独立する場合は仕事の柱にする。
・コンサルで最も重要かつ難しい仕事は受注である。
・受注は想定外のことも多いので、独立当初は事業計画は無意味。機会をとらえて適切に軌道修正していくことが成功のコツである。
・長期で成功するコンサルはプロ意識を持っている。
・中小企業診断士は狭い世界なのでクライアントを盗むのはご法度と考える。
・コンサルティングという目に見えないサービスを売るのは、専門スキルを必要とするクライアント候補を探し、関係を構築し、クライアントの問題を分析して適時適切に提案する必要がある。
・診断士の本業は、研修とコンサルティング。顧問はおまけというスタンスで。
仕事の受注について
・協会に入って中小企業診断士の先輩などとコネを作り仕事を紹介してもらう
・受注は想定外のところからくる。思いもよらない企業からの紹介、偶然の出会いなど
・先輩コンサルのカバン持ちも修行には有効だが、相手を選ぶことが大事。
シニア診断士
・コンサルティングや研修は体力的にハードである。肉体労働と心得る。
・「現役」であることが重要。片手間でやってる。のはクライアントに敏感に見破られる。
企業研修について
・プロコンサルタントの主要業務だが、現実には知り合いの会社から依頼されて担当する程度という人が多い。
・営業方法を身に着け、顧客ニーズに合わせてプログラムを作る方法を学ぶ必要がある。
・研修講師の知識やスキルはどんどん陳腐化するので、継続的に学び進化することが成功のカギ
・営業スタイルは直接営業、営業エージェント、教育団体がある。
・研修講師で稼ぎたければ、大企業を狙う。教育団体経由の受注が多い。
セミナー
・セミナーと研修は違う。セミナーは情報提供で、研修は受講者のスキルアップで受講生とのかかわりが強くなる。
・セミナーで顧客開拓するには、強みを棚卸しし、特定テーマで3時間話せるようにしておく。テーマは5つほど用意しておく
公的支援(全般)
・融資、助成金、補助金、経営指導、教育訓練など
・窓口相談と専門家派遣がある。
・一般的に報酬が低く、公的支援をあてにした独立はおすすめできない。
公的支援(窓口相談)
・地域公的機関、国のよろず支援拠点
・簡単な相談に乗ること。専門性よりも地域事情やビジネス経験が豊富なことが求められる。
・報酬は1日3万円くらい。
・担当できる日数が制限されることが多い。
公的支援(専門家派遣)
・人事、財務といった専門家として登録し、経営課題に応じて派遣される。
・専門性の担保が必要なので、業務経験が必要
・コネが大事である。
補助金
・専門とする法人、他士業も参入しており競争が激化している。
・財務省の影響が強い政権では補助金は縮小され、経産省の影響が強い政権では補助金が拡大しているという傾向がある。
独立診断士で成功するパターン
・専門性を売りにするパターンと活動領域を会社員時代から変更しているパターン(チェンジ型)
・知識のアップデートをし、引き合いがくる仕掛けを作り、提案営業力がある。
・チェンジ型の場合、最初は何でも引き受け、いろいろ経験するうちに方針転換で絞り込む
・強みを見つけるために経験やスキルの棚卸が必要
・資金力があり社員も多い大企業、中堅企業からの受注がとれると収入も多い。
・大企業、中堅企業からの受注にはビジネス書の出版、ホームページを作る。中小・零細企業だけならSNSだけでもよい。
・個人でも大企業からの受注ができないことはない。管理コストが低く、柔軟に対応できるため。
・公的支援や零細企業を相手にする場合は、多数案件をとり、特にお試し案件はしっかりやることである。
・多くの経験をして引き出しを増やすこと。
・自分の経験や学びを雑誌やブログで発信していくことが大事
まとめ
この本を読んでみて、中小企業診断士として独立して稼ぐことの難しさが実感させられます。
再三強調されていますが、コンサルティングという目の見えないサービスを売るのは簡単ではありません。
年収1000万円稼いでいる。みたいな話もよく聞きますが、そんなに簡単ではないのでしょう。
自分がこれから行う独立に向けての準備としては、まずは強みを確認するために、キャリアの棚卸をし、自分についてのSWOT分析をします。
そして、独立後仕事を受注するために重要なことは人脈ですので、これは今からでもどんどん広げることはできますので、独立を見据えて人の集まるところにはどんどん顔を出していこうと思います。
また、コンサル専業というより、何か自分でもビジネスを持ち、その運営を通してコンサルとしての経験値を蓄えていく方法もありと思います。
自分で事業を起こしてもいいですし、今は小さい企業を買ったり、WEBサイトを買ってネットビジネスをやるという方法もあります。
独立後のキャリアプランをしっかりと考えていこうと思いました。
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