今日は、太田差恵子さんの高齢者施設 お金・選び方・入居の流れがわかる本 第2版をご紹介します。
作者の太田差恵子さんは介護関連のジャーナリストで、豊富な取材事例をもとに介護に関する情報発信を多くされています。
私には70代後半の両親がおりますが、親の介護がそろそろ現実化する時期が来ていると感じています。
このブログは50代の充実したセカンドキャリアの作り方を研究するブログですが、これからの人生でリスクとなるのが、親の介護だと思っております。
場合によっては、時間、労力そして経済的な負担が発生するでしょう。
私の両親は自宅を動く気はないようであり、介護が必要になったら訪問介護サービスの活用になるのかもしれませんが、訪問介護で対応できなくなったら高齢者施設に入居させることも検討しなくてはなりません。
そこで、高齢者施設について予め理解しておこうとこの本を手に取りました。
この本を3行で要約
・親を高齢者施設に入れることは面倒を見る子供の都合だけで決めてはいけない。
・高齢者施設を選ぶのは賃貸住宅選びよりも多くの要素があり、介護に関して学ぶことも重要
・高齢者施設は種類がたくさんあり、選ぶポイントも人によって違ってくる。
こんな人におすすめ
・70代以上の親がいる人
・親の介護をどうしようか悩んでいる人
要約
目次
1章 親の施設入居を考えるときーケーススタディ
2章 「親の施設探し」を始める前に知っておきたいこと
3章 施設の種類とサービスの違いを知ろう
4章 施設にかかるお金を確認する
5章 施設探しから入居まで
6章 実際に足を運んで確認したいこと
7章 契約前に確認しておくこと
8章 親が入居した後で、子がやること・考えること
この本の読み方
この本は長年介護事情について取材してきた方が書いており、単なる介護施設や介護制度の解説にとどまっておらず、介護未経験の人には気が付かないようなかゆいところまで書かれています。
その一方で、介護制度や高齢者施設についての知識がまったくなく、「特養」や「介護付き老人ホーム」って何?という人が1章から順番に読んでもピンとこないと思います。
高齢者施設についての知識がまったくない。という人は、まずは2ページにある高齢者施設の一覧表を見て、それから3章から読むといいと思います。
「特養」「老健」「サ高住」といった高齢者施設のひとつひとつについて解説されており、解説を読みながら2ページ目の一覧表を見て、自分の親をどこに入れるか。というシミュレーションをするといいと思います。
高齢者施設の種類の違いについて理解している人は、1章から読めばいいと思います。
高齢者施設の入居を検討するときのポイント
・高齢者施設選びは子供の都合ではなく、実際に入居する親の意向を優先する。入居後に職員との人間関係や食事がまずいという理由で退去してしまうこともある。親が十分に納得したうえで入居させる。
・高齢者施設に入所させることは、それなりのお金が出ていく。親のお金を使うことになるが、相続財産の減少ということになるので、きょうだい間でも合意しておく。
・高齢者施設選びは見学がかかせない。住居のスペックだけでなく、職員の対応や衛生管理など実際に見てみないとわからないことはたくさんある。
・高齢者施設の見学は親と一緒に行くこと。
・入居しようと考えた施設は、かならず親にショートステイやお試し入居をさせて、環境になじむか確認すること
高齢者施設探しの手順
次の10ステップで行う。条件の優先順位、複数の施設を見学に行く、できれば施設にいれる親と一緒に行く。
0.近所の高齢者施設を3つほど見学する
予行演習の代わり。高齢者施設のイメージをもつため、近所の2、3か所を見に行く。
インターネットで場所などの情報収集をしておく。
1.入居の目的を明らかにする
高齢者施設に親を入所させる目的はひとそれぞれで、認知症の場合や自立しているが今後が心配など。
それぞれの事情にあわせ、何が目的なのか。をはっきりさせる。
2.条件の優先順位を決める
親にとって重要なこと、子供にとって重要なことを、親にヒアリングしながら整理する。
きょうだいがいる場合はきょうだいにもヒアリングする。経済的負担は相続財産にも影響するため
3.予算の目安をたてる
親の貯蓄、年金額から予算を立てる。
子供の老後資金にも影響するので、無理な支援は禁物である。
4.情報収集
インターネットなどから情報収集をする。
気になった高齢者施設に資料請求をする。重要事項説明書の同封も依頼してみる。
5.候補の絞り込み
場所(親の住所、子供の住所を勘案)、介護内容、費用の順序で検討する
6.親、きょうだいと意思の確認
絞り込んだ候補を親といっしょに見学に行くことについて意思確認をする。
きょうだいとも情報共有をする。親を施設に入れることは多額の経済的負担が発生し、相続財産に影響するためである。きょうだい間で情報共有ができていないと、将来のトラブルの原因である。
7.実際に見学に行ってみる
親、できれば、きょうだいや友人と一緒に行くのがよい。
居室や共用部分の確認ができるが、見るべきは入居者や職員の様子。
食事介助の様子や食事の試食ができることもある。
介護度が重い入居者を受け入れる施設では、排便のにおいがする場合もあり、館内にしみついているようなら管理が行き届いていないといえる。
8.体験入居
可能であれば一泊でなく、一週間程度試してみる。相性の問題があるため
「特養」など介護保険施設だと、介護保険を活用してショートステイも可能なので、試してみる。
9.入居先を決定、契約
契約をせかす施設はあまり信用できない
入居一時金がある施設は3か月以内ならクーリングオフが可能
10.入居
何を持参するか決める。
まとめ
介護は人によって事情が異なり、考慮する要素はたくさんあります。
高齢者施設選びでは、通常の賃貸住宅選びと似ているところもありますが、住宅選びの時以上に多くの要素を考えなくてはなりません。
通常の住居選びでは選択基準はせいぜい家賃、立地、周辺環境くらいでしょうが、老人ホームのような高齢者施設はそれらに加えて、職員の対応や、他の入居者の雰囲気なども検討しなければならない要素です。
介護は経済状況、健康状態や介護をする子供の状況など、本当に多くの要素が絡んでくるため、多様な選択肢が用意されています。そして、安い買い物ではありません。
この本は、高齢者施設を選ばなければならないことが予想される場合には、事前に買って読んでおくべき本です。高齢者施設についての予備知識を学ぶには最適な本だと思いました。
私も高齢者施設の見学をしておこうと思います。