書評・要約「中小企業を成長に導くスモールM&A戦略」栗山茂也

今日は、栗山茂也のさんの中小企業を成長に導く スモールM&A戦略をご紹介します。

作者の栗山茂也さんはレンタカーや飲食店など複数のビジネスを経営している実業家で、M&Aを駆使してビジネスを大きくしてきた人です。

最近読んだ事業承継 買い手も売り手もうまくいくリアルノウハウはM&Aアドバイザー企業を経営している中小企業診断士の書いた本ですが、事業承継やM&Aは中小企業診断士として仕事をしていくならば、今後も成長が期待される分野だと感じました。

事業承継やM&Aは、経営戦略、人と組織、法務、財務といった幅広い知識が必要な難しい業務ですが、経営に関する知識を幅広く学ぶ中小企業診断士に適する仕事だと思います。

日本は少子高齢化で人口減少が今後も続きますが、労働力不足だけでなく、事業の後継者がいないことも中小企業の課題となっています。

企業買収、M&Aというと大きな金額が動く。と考えてしまいますが、今回読んだ中小企業を成長に導く スモールM&A戦略によると、100万円単位、1000万円単位でのM&Aも増えており、サラリーマンが企業を買収して経営者に転じるパターンも最近増えているようです。

私の友人が小さな会社を事業承継することでセカンドキャリアとすることを検討しており、私自身も中小企業のM&Aに興味をもったことがこの本を読んだきっかけです。

この本を3行で要約

・M&Aには事業買収型と会社買収型(包括承継)とがあるが、初心者は事業買収型がおすすめ。事業買収は事業に関するいいとこどりを目指せるからである。

・債務超過企業や赤字企業の買収はむずかしいのでやめておく

・新規事業立ち上げに比べM&Aのいいところはすぐに売り上げが立つこと。スピードが早い。

こんな人におすすめ

・事業を成長させたい中小企業経営者など

・起業を検討している人

中小企業を成長に導く スモールM&A戦略

要約

・100万円、1000万円単位のM&Aは増加している。

・新規事業の立ち上げには時間がかかるが、M&Aはすぐに売り上げが立つスピード感がある。中小企業の成長にはおすすめの方法である。

・M&Aには事業買収型と会社買収型(包括承継型)がある。初心者は事業買収型がおすすめである。

・会社買収型は、買収前にわからなかった債務が買収後に発覚することがある。簿外債務、偶発債務というものである。

・簿外債務や偶発債務でよくあるのが、未払い賃金やパワハラなどの損害賠償請求。

・事業買収型は、事業に必要なものだけを選んで買収することになるので、簿外債務や偶発債務のようなものはない。

・M&Aでは買収前にデューデリジェンス(査定)をすることで、簿外債務などのリスクをチェックすることになるが、特に中小企業では100見つけることができないことが普通である。

・デューデリジェンスは手数料が高いので、1000万円程度までのM&Aならしないのが普通。簿外債務や偶発債務は見込んでおく

・M&Aのメリットは、有形資産よりは無形資産であることも多い。業界の商習慣のような参入障壁、許認可、仕入先との関係構築など

・M&Aは既存事業と無関係なものだったり、未経験のものは避けるべき、うまくいかないことが多い。

・不動産買収と事業買収の違いは、不動産買収は周辺の賃料相場から大きく逸脱したような利益は得られないが、事業買収は経営のやり方しだいで利益は大きく改善できる。それがM&Aのだいご味である。

・まずはM&Aのマッチングサイトであるバトンズトランビに登録して案件をいろいろとみてみることがおすすめ。

・M&Aは売り手が少なく、買い手が非常に多い売り手市場である。M&A仲介会社の優秀な担当者とのつきあいが大事なので、いい関係を築くこと。よさそうな案件を持ってきたらうるさいことをいわず言い値で買うのがコツである。

・連続で赤字となっている会社や債務超過会社の買収は避ける。既存の取引銀行の心証が悪くなる。

・銀行との信頼関係は簡単には作れない。借りたお金を返済していくことで信用ができてくる。

・信用金庫、第二地銀、地銀、メガバンクという順に取引銀行との格があがっていく。取引銀行の格をあげていくことが今後の資金調達の勘所となる。

・銀行がもってきた投資信託や保険のような商談は、銀行との関係を深めるチャンスなので、手数料が割高でもできれば聞いてあげる。

まとめ

企業価値の算定方法など、M&Aの教科書的な内容にもふれながら、実務家的な視点で書かれた実践的な知識も多い本でした。

100万円、1000万円といった小さな会社のM&Aを考えている場合は必ず読んでおいたほうがいい本だと思います。

中小企業診断士の勉強にも役立ちました。中小企業診断士1次試験、経営法務では事業買収や会社買収法制についての内容がありますが、実務の話は面白く読めます。

事業承継、M&Aはビジネスの大きなテーマですし、中小企業診断士資格取得後も関連する仕事をすることになるかもしれません。

個人的には、会社を見る目を養うために東証グロース市場に上場しているような小さい企業の事業内容を見て投資をしてみたり、ウェブサイトの買収のようなものにも展開できると思いました。

中小企業を成長に導く スモールM&A戦略

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